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ステマ規制とPR表記の実態|日本語のインフルエンサー投稿40万件を集計(2026年)

ステマ規制(2023年10月施行)の要点と措置命令6件を消費者庁の資料で整理し、Virevが収集した日本語のInstagram・TikTok投稿でPR表記の割合と位置を集計しました。広告主向けのチェックリスト付き。

本文にPR表記があるInstagram投稿10,960件で表記の位置を示す横棒グラフ。冒頭100字以内が19%、中ほどが12%、末尾2割が69%。

2023年10月1日から、広告であることを隠した広告、いわゆるステルスマーケティングは景品表示法違反になりました。施行から3年目に入った今、インフルエンサーの投稿にPR表記はどのくらい付いていて、どこに書かれているのか。Virevが収集した日本語のInstagram投稿405,676件とTikTok投稿を集計しました。

検索上位の解説記事は告示と運用基準の説明が中心で、実際の投稿で表記がどう使われているかの数字は載っていません。後半には、広告主が依頼前から公開後まで使えるチェックリストを付けました。

78.7%

タイアップ表示+本文PR

Instagramのタイアップ投稿ラベル付き投稿10,702件のうち、本文にもPR等の表記がある割合。

69%

表記が末尾2割にある

本文の表記だけで広告を示している投稿10,960件のうち、最初の表記がキャプションの末尾2割にある割合。

2.5%→11.6%

同じ281アカウント

施行前と3年目で、PR等の表記がある投稿の割合(Instagram)。

ステマ規制とは

ステマ規制は、景品表示法5条3号に基づく告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)のことです。2023年10月1日に施行されました。1

告示の対象になるのは、次の2つを満たす表示です。

  • 事業者の表示であること。事業者が表示内容の決定に関与していれば、インフルエンサーなど第三者の投稿でも事業者の表示になります。
  • 一般消費者が、それを事業者の表示だと判別しにくいこと。

規制の対象は商品やサービスを供給する事業者(広告主)です。消費者庁は、依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象ではないと説明しています。ただし広告主が処分を受ければ、投稿したクリエイターとの取引にも影響します。

違反が認められると、消費者庁は措置命令を出します。Q&AのQ2によると、ステマ告示の違反だけでは課徴金納付命令の対象になりません。優良誤認表示や有利誤認表示を含む場合は課徴金の対象になることがあります。

実務で見落としやすい点が2つあります。

  • 施行前の投稿も対象になりえます。Q&AのQ20は、2023年10月1日より前に依頼した投稿でも、施行後に表示され続けていて事業者の表示だと明瞭でなければ、行政処分の対象になる可能性があるとしています。
  • 依頼のない自主的な投稿には、PR表記は不要です(Q21)。商品を無償で渡しただけで直ちに事業者の表示になるわけではありませんが、特定のインフルエンサーを選んで提供し、やり取りがある場合は事業者の表示と判断されることがあります(Q5)。

「明瞭」と認められる書き方、認められにくい書き方

運用基準は、事業者の表示であることが明瞭になる例として、次の2つを挙げています。

  • 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言を使う。
  • 「A社から商品の提供を受けて投稿している」のような文章で示す。

一方で、文言があっても明瞭とはいえない例も挙げています。SNS投稿で特に関係するのは次の5つです。

運用基準・Q&Aの例投稿での具体例
末尾の位置で視認しにくい長いキャプションの最後に #PR を1つだけ置く
大量のハッシュタグに埋もれさせる20個のハッシュタグの列に #PR を混ぜる
動画で一瞬だけ表示する冒頭1秒だけ「PR」と出す
ツリー(リプライ)にだけ書く本文に書かず、返信やコメント欄に書く(Q14)
長い文章や小さい文字で示す薄い色や小さな文字で「提供」と添える

動画についてQ15は、冒頭に「広告」と出すだけでは途中から見た人が見逃すおそれがあり、画面上に常に表示するなど動画全体を通して明瞭にしておくことが望ましいとしています。

措置命令6件で共通していたこと

消費者庁がステマ告示違反として公表した措置命令のうち、主な6件を一次資料で確認しました。

日付事業者媒体問題とされた表示
2024年6月6日医療法人社団祐真会Googleマップの口コミワクチン接種費用の割引を条件に星5か星4の投稿を依頼
2024年8月8日RIZAP(chocoZAP)自社サイト、Instagram対価を払って依頼した投稿を「SNSでも話題!」として依頼と明かさず掲載
2024年11月13日大正製薬自社ECサイト無償提供と対価で依頼したInstagram投稿を抜粋して掲載
2025年3月25日ロート製薬自社ウェブサイトモニター募集サイト経由で依頼した投稿を「"わたしも"使っています from Instagram」として掲載
2026年6月29日高光製薬自社ウェブサイト無償提供して依頼した投稿を「SNSでも大人気!」として掲載
2026年8月6日SNOWの提供事業者2社X対価を条件に、指示した方針に沿った投稿を依頼

祐真会の件が、ステマ告示に基づく最初の措置命令です。2 6件のうち4件は、依頼した投稿を広告主が自社サイトに転載した表示が問題になりました。Q&AのQ16も、依頼した投稿を「お客様の声」として自社サイトに載せることは適当ではないとしています。SNOWの件は、第三者がXに投稿した表示そのものが対象になりました。

Virevの投稿データの調べ方

Virevのクローラーが収集した公開アカウントの投稿を、本番データベースから読み取り専用で集計しました。2026年10月1日に抽出しています。

  • 日本語の投稿: キャプションにひらがなかカタカナを含む投稿。
  • 日本語のアカウント: 日本語の投稿が3件以上あり、保存している投稿の半分以上が日本語のアカウント。Instagramは9,304アカウント・405,676投稿、TikTokは16,583アカウント・780,210投稿です。
  • PR等の表記: 「#PR」「PR」「【PR】」「#広告」「プロモーション」「タイアップ」「#ad」「#sponsored」「#gifted」のいずれかを含む投稿。無作為に選んだ40件を目で確認し、37件が実際の広告表示でした。誤検出は「正直PRが多すぎて」のような文中の語などです。
  • タイアップ投稿ラベル: Instagramのブランドコンテンツ機能で付く「タイアップ投稿」の表示。データ上の is_paid_partnership で判定しました。

注意点もあります。Instagramの投稿の98%は2025年7月以降の投稿で、それより前の投稿は少数です。古い投稿は現在も公開されているものだけが残り、キャプションも取得時点の内容です。TikTokには広告表示の設定(コンテンツ開示設定)の情報がないため、キャプションの表記だけを数えています。

タイアップ表示付き投稿の78.7%は本文にもPR表記

Instagramでタイアップ投稿ラベルが付いた日本語の投稿は10,702件、1,290アカウントでした。そのうち78.7%は、キャプションにもPR等の表記がありました。ほとんどは「#PR」や「【PR】」など「PR」を含む表記で、ラベル付き投稿の76.3%に入っています。

アカウント単位で見ると、ラベル付き投稿のすべてに本文の表記も入れていたのは55.5%、一度も入れていないのは11.6%でした。

横棒グラフ。タイアップ投稿ラベル付き投稿のうち本文にもPR表記がある割合。美容・コスメ86%、暮らし・育児83%、ダイエット・フィットネス80%、健康・サプリ・医療77%、ファッション75%、エンタメ・ゲーム73%、グルメ・料理73%、旅行・ホテル69%。
カテゴリはキャプションの語句で分類。1つの投稿が複数のカテゴリに入ることがあります。

カテゴリ別では、美容・コスメが85.5%で最も高く、旅行・ホテルが69.0%で最も低くなりました。フォロワー数別では、1千から50万人のアカウントが77から81%だったのに対し、50万から100万人は67.3%、100万人以上は61.6%でした。大型アカウントほどラベルだけに頼る投稿が多い結果です。

本文の表記は7割がキャプションの末尾

次に、PR等の表記がキャプションのどこにあるかを数えました。最初の表記が冒頭100字以内にあるか、キャプション全体の末尾2割の位置にあるかで分けています。

3本の積み上げ横棒グラフ。最初のPR表記の位置。Instagramのタイアップ表示あり8,462件は冒頭100字以内12%、中ほど9%、末尾2割79%。Instagramの本文の表記のみ10,960件は19%、12%、69%。TikTok5,846件は67%、6%、27%。
冒頭100字以内か、末尾2割の位置か。TikTokはキャプションが短いため冒頭に入りやすくなります。

タイアップ投稿ラベルがなく、本文の表記だけで広告を示しているInstagram投稿は10,960件ありました。このうち69%は、最初の表記がキャプションの末尾2割の位置にありました。冒頭100字以内に入っていたのは19%です。Instagramのフィードでは長いキャプションの後半が「続きを読む」の先に隠れるため、末尾の #PR は開かないと見えません。運用基準が不明瞭な例として挙げる「末尾の位置」に近い書き方です。

ハッシュタグに埋もれる書き方は減りました。PR等の表記がある投稿で、6個以上のハッシュタグを付けた投稿の割合は、2025年10月の51%から、2026年2月以降は1から2%になりました。Instagramが1投稿のハッシュタグを5個までに制限した時期と重なります。3 一方で、キャプションの最後に5個のハッシュタグを並べ、その中に #PR を入れる書き方は残っています。

施行の前後で、同じクリエイターのPR表記は増えた

施行前(2022年4月から2023年9月)と施行後の両方に投稿があるアカウントだけを選び、同じアカウントの投稿で比べました。分母には広告でない投稿も入るため、値は「全投稿のうち表記がある投稿の割合」です。

2つの棒グラフ。同じアカウントの投稿でPR等の表記がある割合。Instagramの281アカウントは施行前2.5%、施行後1から2年9.4%、3年目11.6%。TikTokの1,186アカウントは0.4%、1.2%、2.3%。
施行前後の両方に投稿があるアカウントのみ。Instagram 6,720件、TikTok 62,565件。

Instagramの281アカウントでは2.5%から9.4%、3年目は11.6%に増えました。TikTokの1,186アカウントでは0.4%から1.2%、3年目は2.3%です。どちらも施行前の3倍以上ですが、表記を付けた投稿が実際の広告投稿のどれだけを占めるかは、このデータからは分かりません。

カテゴリ別の数字

カテゴリPR表記ありラベル+本文PR冒頭に表記
美容・コスメ19.9%85.5%11.1%
グルメ・料理12.6%73.1%4.8%
ファッション7.0%75.3%12.0%
暮らし・育児11.3%83.4%10.8%
旅行・ホテル13.0%69.0%8.9%
ダイエット8.0%79.5%7.1%
健康・サプリ16.3%77.0%5.8%
エンタメ3.4%73.1%19.8%

Instagramの日本語投稿。カテゴリはキャプションの語句による分類で、投稿数は健康・サプリの5,852件からグルメ・料理の47,162件まで。「PR表記あり」は全投稿に占める割合、「ラベル+本文PR」はタイアップ投稿ラベル付き投稿のうち本文にも表記がある割合、「冒頭に表記」は表記がある投稿のうち最初の表記が冒頭100字以内にある割合です。

美容・コスメは表記の頻度が最も高く、投稿の5件に1件にPR等の表記がありました。グルメ・料理は表記のある投稿の95%で、表記が冒頭100字より後ろにありました。目で確認した投稿では、店舗情報やレシピを書いた後に #PR を置く形が多く見られました。措置命令が続いているサプリや健康食品のカテゴリも、冒頭に表記がある投稿は5.8%でした。

表記の実例(公開投稿)

冒頭で広告だと分かる書き方をしている公開投稿を紹介します。いずれも2026年10月2日に確認しました。

ミスターヤバタンのInstagram投稿のキャプション。1行目に「#株式会社リクルート PR」、続いて本文、その後に#PRなどのハッシュタグ。
ミスターヤバタン(@mr_yabatan)、2026年3月13日の投稿。1行目に広告主名とPRを書いています。
  • ミスターヤバタン(@mr_yabatan)は、1行目に「#株式会社リクルート PR」と広告主名を書き、本文の後にも #PR を入れています。誰の広告かが最初の1行で分かります。
  • HIKAKIN(@hikakin)は、短い1行のキャプション「ヴィラ4棟貸し切ってみた! #PR #Airbnb #エアビー」にPRと広告主を入れています。タイアップ投稿ラベルも付いています。
  • まみ(@mtmtharb)は、レシピ投稿の1行目を「#広告 #プロモーション #ニッスイ」で始めています。
  • BUSON(@buson2025)は、キャプションを「【PR】」から始めています。
  • くぼたび(@kubo_tabi_)は、ホテル紹介の1行目を「#PR #じゃらんのお得な10日間 #旅行」で始めています。
HIKAKINのInstagram投稿のキャプション。「ヴィラ4棟貸し切ってみた! #PR #Airbnb #エアビー」。
HIKAKIN(@hikakin)、2025年8月8日の投稿。ログインせずにウェブで開いた画面です。

共通点は、キャプションを開かなくても見える位置に「PR」か「広告」があり、多くの場合は広告主の名前も並んでいることです。

広告主向けチェックリスト

インフルエンサーにPRを依頼する広告主が、依頼前から公開後までに確認する項目です。

  1. 依頼、報酬、無償提供、過去の取引を記録する。事業者の表示に当たるかは、やり取りや対価の内容から判断されます(運用基準、Q&AのQ5・Q19)。商品提供の進め方はギフティングの記事にまとめています。
  2. 契約書とブリーフに、表記の文言と位置を書く。「キャプションの1行目に『PR』と広告主名」のように具体的に指定します。
  3. Instagramではタイアップ投稿ラベルも使い、本文の表記と併用する。今回のデータでは、ラベル付き投稿の21.3%が本文に表記を入れていませんでした。
  4. TikTokでは広告の開示設定を使い、キャプションの冒頭にも表記を入れる。
  5. 動画は冒頭だけでなく、画面上に表記を出し続ける(Q15)。
  6. 返信やコメント欄にだけ表記する方法は使わない(Q14)。
  7. ハッシュタグの列の最後に #PR を置くだけの書き方を避ける。本文の表記の69%が末尾2割にありました。
  8. 依頼した投稿を自社サイト、LP、EC、広告に転載するときは、依頼した投稿であることを明記する。「お客様の声」として載せない(Q16)。措置命令6件のうち4件がこの形です。
  9. 口コミやレビューを依頼するときは、星の数や高評価を条件にしない(Q6、祐真会の件)。
  10. 施行前に依頼した投稿を洗い出す。表示が続いていれば対象になりえます(Q20)。
  11. 公開後に投稿URLを集め、表記の有無と位置を確認する。

投稿の確認やクリエイターの選定には、Virevのクリエイター検索が使えます。日本のInstagramとTikTokのクリエイターを、カテゴリや過去の投稿内容から探せます。Virevでクリエイターを探す

関連する記事:

出典

  1. 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 消費者庁2026/10/02 閲覧
  2. 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年内閣府告示第19号) 消費者庁2026/10/02 閲覧
  3. 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準 消費者庁2026/10/02 閲覧
  4. ステルスマーケティングに関するQ&A 消費者庁2026/10/02 閲覧
  5. 医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  6. RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  7. 大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  8. ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  9. 高光製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  10. 「SNOW」と称するアプリケーションの利用サービスの提供事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について 消費者庁2026/10/02 閲覧
  11. Instagram now limits you to five hashtags per post Digital Trends2026/10/02 閲覧